オールジャパンで取り組む“和牛統一マーク”が世界に和牛のおいしさを広めてくれるはず!ガイアの夜明け「“和牛(WAGYU)”その知られざる真相」視聴レビュー

2014年7月29日(火)放送のガイアの夜明け「“和牛(WAGYU)”その知られざる真相」は、シンガポールや香港などのアジア市場で今人気が高まっている「WAGYU」(ワギュー)を取り上げた回でした。日本産の和牛ではなくオーストラリア産和牛の方がアジア市場で人気がある、その興味深い理由と日本の和牛関係者の取り組みが紹介されていました。

オーストラリア産の「ブラックモア和牛」は、日本の和牛よりも食べやすく品質も高いと、シンガポールで番組の取材に答えていた高級スーパーの店長は答えていました。オーストラリア産なのに、なぜ“和牛”なのでしょうか?

オーストラリア・メルボルン近郊にある「ブラックモア和牛」の生産者、デビッド・ブラックモア氏は3,000頭もの和牛を生産しています。しかし、和牛の定義は日本国内で生まれ、日本国内で肥育された牛のはず。和牛の種類も黒毛和種、赤毛和種、日本短角種、そして無角和種の4種類しかありません。

※ちなみに、国産牛の定義は日本国内で一定期間以上、肥育された牛のことです。そのため、外国生まれの牛でも、日本で肥育された期間が長ければ国産牛と表示できます。

ブラックモア和牛の生産者、デビッド・ブラックモア氏がオーストラリアで和牛を生産できている理由、それは北海道・白老町の武田正吾という人物から和牛の遺伝子を譲り受けたからでした。白老町はブランド牛「白老牛」の生産地でもあります。

武田正吾氏は、番組の取材であっさりと和牛を海外に広めた事を認めます。和牛の輸出は法律で禁止されていないため、別に違法ではありません。しかし、全国の和牛生産者が加盟する団体「全国和牛登録教会」は和牛遺伝子を海外に出さないよう生産者たちに強く要請していました。

その要請を無視し、和牛を海外に輸出したことで、武田氏は1997年6月に全国和牛登録教会から除名処分を受けます。武田氏は和牛を輸出した理由について、乳牛や豚、鶏など様々な海外の家畜の恩恵を受けているのに、和牛を海外に出さないのは日本のエゴだと言います。実際、武田氏以外にも3社の民間企業が和牛を輸出したそうです。

1991年~1998年の間に、武田氏の115頭を含む和牛240頭、精液1万5000本が米国に渡ったと番組で紹介されていました。オーストラリア和牛協会(そんな団体があるんですね)によると、和牛の生産は現在世界27か国に拡大しているそうです。こうした海外の和牛は、日本に逆輸入する形でスーパーなどで販売されています。

武田氏は番組の取材に、おいしい和牛を世界中の人たちに食べてもらいたかったと語っていました。日本人さえ高くて食べられない和牛を、世界各国の消費者水準に合わせた価格で販売する。消費者にうまいものを食べてもらいたい。これが百姓の店名でなければダメなんだ。

こう語る武田氏の純粋な思いは理解できる部分もありますが・・・やはり日本にとって大きなマイナス面にもつながってしまっているので当ブログ管理人KENは全面的に賛同はできません。

神戸ビーフや米沢牛、松阪牛等に代表される日本産の和牛は、全国でなんと230種類以上もあるそうです。日本産の和牛が海外で苦戦する中で、国内外で”一人勝ち”とも言えるのが「神戸ビーフ」です。その成功の秘密は、徹底的なブランド戦略にありました。

1983年に設立された神戸肉流通推進協議会では、兵庫県内で生まれた但馬牛の中でも、最高級のものだけを「神戸ビーフ」として認定するという、日本で最も厳しい基準を設定しています。こうしたブランド価値を高める取り組みが、世界中で評価され神戸ビーフの圧倒的なブランド力へとつながったとのこと。神戸ビーフの年間生産量はおよそ4,000頭、このうちの1割近くが世界に輸出されています。

しかし、オーストラリア産和牛などが世界に広まっていること、そしてトウモロコシや大豆などエサの値段が高騰していることで、多くの和牛生産者が苦境に陥っていました。

苦戦するブランド力の弱い和牛生産者の状況を変えるべく立ち上がったのが、タイやマカオへ和牛輸出を手がける食肉輸出業者「株式会社ミートコンパニオン」(東京・立川市) の植村光一郎常務です。

ミートコンパニオンの植村氏は、日本産和牛はそれぞれの産地ブランドが海外でバラバラに売り込みをしているため、 海外の消費者に「日本産」ということがうまく伝わらず、オーストラリア産WAGYUに負けていると考えます。

そこで植村氏は、中央畜産会が2007年に作成した「和牛統一マーク」に注目し、2014年6月に開始されるEU市場での和牛販売に「和牛統一マーク」をつけて売ろうと関係各社に呼びかけます。この呼びかけに伊藤ハムや日本ハム、JA全農、そして神戸ビーフを扱うエスフーズなどの大手が応え、EU市場での「和牛統一マーク」使用を合意しました。

2014年6月に欧州連合(EU)の規制緩和で、欧州への日本産牛肉の輸出が本格化したのは和牛ブランドにとって大きな追い風です。オールジャパン一丸となった和牛統一ブランドの浸透は、日本のおいしい和牛が世界を席巻するキッカケになると思います。より多くの人に、本物の和牛を味わってもらいたいですね。

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