客の声に真剣に向き合う東和電機製作所の浜出雄一社長が登場、カンブリア宮殿「ハイテクで漁師を救う!革命起こした小さな世界企業」視聴レビュー
2014年12月11日(木)放送のカンブリア宮殿「ハイテクで漁師を救う!革命起こした小さな世界企業」は、漁業の世界で“ロボット革命”を成し遂げた中小企業、株式会社東和電機製作所の浜出雄一(はまで・ゆういち)社長が登場された回です。
東和電機製作所は2006年に「今年のロボット大賞」中小企業部門を受賞し、「グローバルニッチトップ企業」にも選定されている函館の優良企業です。
忘年会シーズンに人気の居酒屋「北海道物産」の目玉商品が、生きているイカです。お客さんもコリコリして最高に旨い、とコメントされていました。その日の朝に北海道で獲れたイカを仕入れているのが、新鮮な歯ごたえの理由です。
北海道・羅臼に集まってくる多数のイカ釣り漁船。その漁師たちが使っているのが、東和電機製作所が開発した「全自動イカ釣りロボ」です。手釣りの漁師が行っていたえさを生きているように見せる「しゃくり」と呼ばれる手の動きも再現し、次々にイカを自動で釣り上げてくれる優れた機械です。
漁師の数が激減している中、このイカ釣りロボットのおかげでたった1人でも漁が出来るようになり、しかも1隻あたりの漁獲量は飛躍的に増えたとのこと。
さらにイカの漁獲が増えたことにより、市場への流通だけでなく料理屋向けの「活イカ」など新たな流通も生み出しています。日本のみならず、中国や韓国、南米、ニュージーランドなどに輸出、世界シェアは実に7割を誇るそうです。
総務省の調査では、鮮魚の1人当たり購入量(2013年度)は第1位がサケ、第2位がマグロ、そして第3位がイカとなっています。ちなみにイカとよく比較されるタコは第11位です。
1963年、造船所の下請けとして創業した東和電機製作所はある日、漁業を営む親類から相談を受け、モーターで糸を巻き上げる簡易的なイカ釣り機を製作します。イカ釣り機はヒットするものの、40ものメーカーが参入しあっという間にトップの座を奪われてしまいます。
そこで浜出社長が先頭に立ち、巻き返しのために取り組んだのが“コンピュータ制御”のイカ釣り機でした。漁師の名人技を自動化するため、各地の名物漁師のもとを訪れては試行錯誤を繰り返し、漁師の技を取り入れたイカ釣りロボットの開発に成功。市場トップの座を奪い返すことに成功します。
東和電機では他にも、マグロの動きに合わせて自動で糸を制御する「自動マグロ一本釣り機」も開発、販売しています。このマグロ釣り機も大間の名物漁師、菊池さんの技術と意見を取り入れて作られたものだそうです。マグロ一本釣り機は今やマグロ漁師の9割が使う人気製品になっています。
近年、日本の漁師を苦しめているのが燃料やイカをおびき寄せるため必要な漁火に使う重油価格の高騰です。そんな漁師たちを救うため、浜出社長の東和電機が開発したのが「LED集魚灯」です。
LED集魚灯は主流のメタルハライドランプに比べ燃料代が大幅に削減でき、既にサンマ漁では大活躍しています。しかしイカ釣り向けの開発は、光量などの問題でなかなか上手く行かない状況が続いていました。
そこで東和電機では、自社の試験船「濱出号」で実際に漁をしながらデータを集め、LED名人とも言える日亜化学とイカ用LEDの共同開発に乗り出しています。
ローカルからグローバルへというビジネスは、浜出社長のように地域の人たちと密着して取り組む企業にこそ扉が開かれるのかもしれません。地元地域の悩みを解決できるからこそ、世界の悩みも解決できるのだと思います。