のれん会の仕組みで価格競争を徹底排除!カンブリア宮殿「“1坪店舗”でうまいものを売りまくる!地方の逸品を発掘する“食の伝道師”」視聴レビュー
2013年12月5日(木)放送のカンブリア宮殿「“1坪店舗”でうまいものを売りまくる!地方の逸品を発掘する“食の伝道師”」を視聴しました。番組を見て、首都圏の駅でよく見かける1坪ショップに株式会社生産者直売のれん会という仕掛け人がいたことを、当サイト管理人の自営業者KENは初めて知りました。
株式会社生産者直売のれん会は、2007年に誕生したまだ若い会社。率いるのは黒川健太(くろかわ・けんた)社長です。良いものを作りながら販路がない、大手との価格競争に巻き込まれている、そんな状況に苦しむ中小食品メーカー100社をのれん会では組織化し、地方の逸品を全国に販売しています。
その販路は、駅構内でよく見かける1坪ショップ。生産者直売のれん会は毎日30店舗を首都圏の駅に出店しており、店に必要な壁や陳列罪も社員が自分たちで作ってコストダウンにつなげています。
のれん会の1坪ショップで扱う食料品は全国的には無名ですが、地元では人気の逸品ばかり。契約している100社のメーカーが作るドーナツやマンゴープリンといったスイーツ、海産物の缶詰、せんべいや梅干しなど多岐に渡っています。
「のれん会」は販売だけでなく出店交渉や店舗設営までを、会員の食品メーカーに成り代わり手掛けているのが特徴です。店を出すのは駅の構内、百貨店の催事場、日帰り温泉、祭りの会場などなど。店舗の多くは1坪程度の狭さですが、中には1日100万円近く売り上げる店もあるそうです。
そののれん会の最大のヒット商品が、広島の老舗パンメーカー「八天堂」の「冷やして食べるクリームパン」です。当時のれん会は知名度も実績も資金もないため、駅ナカなどの好立地は得られませんでした。そこで、都内の商店街に冷蔵ケースを1台持っていき、クリームパンを売るという手法を生み出します。
商店街に設置された1台の冷蔵ケースから売られる「冷やして食べるクリームパン」の噂を聞きつけた東急電鉄が、2009年5月に渋谷駅の地下通路への出店をのれん会に要請。それから4年、のれん会の売り上げは右肩上がりの成長を続け、今や年商30億円にもなります。
そして今、黒川社長率いる株式会社生産者直売のれん会は、新たな試みとしてメーカー同士のコラボ商品開発に取り組んでいます。例えば、明治から続く東京唯一のしょうゆメーカー「近藤醸造」(愛称はキッコーゴ)と、愛知県の外食向けデザートメーカー「知多セントラルシステムズ株式会社」がタッグを組んだ『しょうゆジェラート』です。近藤醸造の直売会でもしょうゆジェラートは人気を博しており、その影響で本業のしょうゆも売れていました。
他にものれん会の会員メーカー同士がコラボを組んで生み出した商品として、宮城県石巻の丸平かつおぶしと高砂長寿味噌本舗という2つのメーカーがタッグを組んだ作った「夢ふりかけ」や、福岡県の明太子メーカー中野和一郎商店と関西のデパ地下人気惣菜メーカーが協力して作った「めんたいコロッケ」等が番組で紹介されていました。
今回のカンブリア宮殿で初めて知った生産者直売のれん会ですが、村上龍氏の編集後記でも触れられていたように、まさに巨大恐竜の絶滅を生き延び進化していった白亜紀末期の哺乳類に似ていると思います。知恵と信頼で行動力で大手にはできない市場でNo1を取る、自営業者にとっても勇気をもらえる回でした。