格付けや見本市で年間通して観光客を獲得!未来世紀ジパング「世界一の観光大国フランス 日本人を取り込め!」視聴レビュー

2013年12月9日(月)に放送された未来世紀ジパング「世界一の観光大国フランス 日本人を取り込め!」を遅ればせながら視聴しましたので、当ブログに視聴レビューを記しておきます。

世界各国への外国人訪問者数ランキング2012年度を見ると、第5位がイタリア、第4位がスペイン、第3位が中国、第2位がアメリカという結果になっており、日本は約835万人で世界第33位です。

ただし、現在日本では観光立国を目指し年内に1,000万人の外国人観光客を、そして2030年には3000万人の観光客を獲得するため取り組みを強化しています。

そして外国人観光客8,300万人と世界断トツ1位の観光大国が、フランスです。番組冒頭でも紹介されていたモンサンミッシェル、なんと訪れる観光客の9割が日本人だそうです。フランスでは観光客を国別に分析し、その国に応じた国別接客マニュアルを作ることで年々観光客を増やしているとの事。

興味深いのは、観光協会の担当者が話していた「日本人観光客が一番難しい」という言葉です。国民性だと思いますが、日本人は不満を言わないのに、観光客に対する満足度調査では日本が他の国より満足度が低いそうです。日本人観光客を満足させられれば、他の国の観光客の満足度にもつながるとフランス観光協会が考えているのも面白い視点です。

フランス中西部のロワール地方にあるヴィルリー城では、日本人観光客を満足させるためにフランス王も宿泊した部屋を用意したり、キジのハンティングをサプライズで見せたりと、様々なおもてなしの取り組みを採用しています。日本人を観光サービスの基準にしようとしている一例と言えます。

フランスはミシュランガイドに代表されるように、「格付け」が得意な文化を持っています。格付けすることによって付加価値をつけ、観光客に足を運ばんでもらえるようにしています。そんなフランスの格付けはレストランだけでは無く、田舎の村150カ所以上を「最も美しい」と格付けして認定した書籍「フランスで最も美しい村」もあります。

この「フランスで最も美しい村」という本のおかげで、かつては観光客に見向きもされなかったコランジュ・ラ・ルージュやゴルドのような小さな村が、年間数十万人訪れる人気の観光地になっているそうです。

美しい村として選ばれる条件には、

・人口2,000人以下の小さな村であること
・歴史的建造物や自然遺産が2つ以上あること
・村全体で景観の調和がとれていること

といった基準があり、6年に一度見直しが行われ、条件を満たさなければ落選されるという厳しい格付けになっています。フランスには人口2,000人以下の村が約3万もあるそうですが、最も美しい村に選ばれたのが156か所と全体の0.5%程度であることからも、いかに厳選された格付けかが分かります。

番組ではこの最も美しい村のブランドを生かし、“幻の豚”とも呼ばれる地元の産品「キントア豚」を発信しようとするアルデュード村の取り組みが紹介されていました。

キントア豚が幻の豚と呼ばれる所以、それは1900年代前半には約13万頭いたものの、1981年にはわずか22頭まで激減した歴史にあります。アルデュード村のピエールさんや養豚業者の努力で、30年もの歳月をかけ、現在は年間7,000頭を生産できるまでに回復したそうです。

このキントア豚を使った生ハムを、最も美しい村に格付けされている隣村のアイノア村に店を出して販売したところ、美しい村を目当てに訪れる世界中の観光客にも広まっていっているそうです。ちなみにキントア豚の生ハムは、楽天市場等でもお取り寄せすることが可能です。

フランスでは他にも様々な格付けがあり、未来世紀ジパングによると例えばワインの名産地ブルゴーニュ地方の「ブドウ畑の格付け」などが有名だそうです。ワインの販売につながるだけではなく、ワイン畑に観光客が来てくれるキッカケにもなっているとのこと。

真冬のフランスは観光のオフシーズンですが、冬の時期でもホテルは満室だそうです。その理由は、「見本市」。年中フランスの様々な場所で見本市が開催されているため、見本市周辺のホテルは常に満杯状態になっているとのこと。

フランスは見本市を観光の国策として取り組んでおり、あのシャンゼリゼ通りをすべて農園にする「国際農業見本市」なども開催しているそうです。ちなみに国際農業見本市の来場者数は約60万人、1回の開催で日本の年間外国人観光客の1割近くに達します。

フランスの見本市の特徴は、ビジネスマンだけではなくその家族を飽きさせない取り組みがふんだんに盛り込まれている点です。そのため、世界各国からビジネスでやってくる客が、一緒に家族を連れて来ているのだそうです。昼間はビジネス、夜は家族とディナーで、フランス滞在中にビジネスと観光を両方こなすのが当たり前になっているとのこと。日本人のビジネスマンとしては少しうらやましく思いますね。

沸騰ナビゲーターの山口義行さん(立教大学経済学部教授)の未来予測は、「フランスが日本の観光大使に!」でした。年間8300万人の外国人観光客が訪れる世界一の観光大国フランス、その裏には観光資源にあぐらをかかず「国別対応マニュアル」「格付け」「見本市」など様々な戦略で客を呼ぶ努力をしています。

こうしたフランスの取り組みをすべて日本が真似するのは現実的ではないので、「フランスの格付け」を上手く利用し、フランスを日本の情報発信基地にすることで観光や日本の産業の世界展開を加速させていこう、という未来予測でした。

確かにフランスでは日本文化、とくにファッションやアニメ、職人技の小物・雑貨などが人気ですので、より多くに日本の産業をフランスを起点にヨーロッパ、そして世界に広めていくのはとても有効な手段だと思います。海外展開の最初の一歩はフランスにする、という中小企業もこれから増えるかもしれませんね。

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