太平洋の島国キリバス共和国とナウル共和国、未来世紀ジパング「太平洋の“アリとキリギリス” ~絶海の島国と日本の知られざる繋がり~」視聴レビュー

2015年3月16日(月)放送の未来世紀ジパング「太平洋の“アリとキリギリス” ~絶海の島国と日本の知られざる繋がり~」は、赤道直下の南太平洋に浮かぶ小さな島国キリバス共和国とナウル共和国を取り上げた回でした。イソップ童話のアリとキリギリスをモチーフに、今回の番組は海面上昇で国土沈没の危機にあり海外でも通用する人材の育成に務める「アリ」のキリバスと、1981年には日本の倍のGDPを誇った肥満率世界一の「キリギリス」がナウルとして紹介されていました。

日付変更線のすぐ東に位置し「世界で最も日の出の早い国」でもあるキリバス共和国。かつて太平洋戦争の激戦地でもあったキリバス共和国の首都タラワ、現在の大型スーパーに並ぶ商品は100%輸入品です。そのためカボチャ2000円、黒ずんだキャベツが1500円と、野菜は非常に高価な食材です。

日本はキリバスにインフラなど多くの支援を行い、「ニッポン・コーズウェイ」と呼ばれる島と島を結ぶ道路も建設するなど、住民から歌として語り継がれるほど感謝されています。そんなキルバス共和国は今、海面上昇という深刻な問題を抱えています。なんと2050年にはタラワの8割が浸水する予測もあるそうです。

キルバス共和国のアノテ・トン大統領は2014年、フィジーにキルバスの総人口でもある10万人が移住できる東京ドーム400個分もの土地を購入、移住先の国にも貢献できる人材育成に取り組んでいます。

若者たちの職業訓練では日本のカツオ漁船が人気だそうです。番組では日本の支援によってできたカツオ漁船の乗組員を養成する学校で、職業訓練に励む兄弟の密着取材を行っていました。

日本かつお・まぐろ漁協の担当者が見守る中、日本行きをかけた最終試験が行われ、見事兄弟2人ともに日本の静岡での仕事を得ていました。深刻な人手不足が叫ばれる日本の漁業においては、キルバスのように他国からの人材協力が今後ますます重要になってくることと思います。

未来世紀ジパングのWEB限定「ジパング・お蔵入り映像」では、コスモ石油(東証1部上場、証券コード:5007)のマングローブ植林プロジェクトや、海外青年協力隊によるスポーツ支援の取り組みなども紹介されていました。ご興味ある方は番組公式サイトをチェックしてみてください。

番組後半に紹介されたのが、東京都の港区とほぼ同じ広さで世界で3番目に小さい島国、ナウル共和国です。1980年頃、リン鉱石の輸出により繁栄を謳歌していたナウルでは、税金も医療費も無し、住宅まで国から支給、さらに鹿児島とナウルを結ぶ飛行機の直行便を作るなど国民の生活は非常に豊かでした。

しかし繁栄を支えてきたリン鉱石が枯渇すると、国の財政も事実上破綻し今では人口1万人の90%が肥満という「世界一の肥満国」という不名誉な称号をさずかるまでに。日本政府が約6億8000万円の資金援助をしてつくられたアニバレ漁港も、今は国民のレジャー施設的な使われ方をしています。

産業もなく観光資源もないナウルは世界の最貧国に転落してしまった、まさにキリギリスのような国なのですが・・・そんな破たん国家は今、ソマリアやアフガニスタン、中東など紛争地帯から逃げ延びてきた人たちを受け入れる難民キャンプで収益を得ています。

ナウル共和国はオーストラリアから年間20億円の財政支援を受けることで、オーストラリアを目指す難民「ボート・ピープル」を受け入れているのです。しかしそんなナウルの難民たちは、ナウルに住み続けるか、母国に帰るかの2つに1つという厳しい選択肢しか残されていないとのこと。

取材に応えていた難民も、ナウルに閉じ込められた生活は最悪だと話されていました。キリバスとナウル、同じ太平洋の島国なのに、前者は勤勉なアリ、後者は他力本願なキリギリスというイメージを今回の未来世紀ジパングから強く受けました。

沸騰ナビゲーターの太田泰彦さん(日本経済新聞社論説委員兼編集委員)も、未来予測で「人アリき」を掲げられていました。「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」という支援の形が、その国の人材を育て、経済的な自立を促し、ひいては日本との良好な関係構築にもつながっていくのだと思います。

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