タカラトミーやサントリー、資生堂も社長はプロ経営者!ガイアの夜明け「プロ経営者は会社を変えるか?」視聴レビュー
サントリーの新浪社長や資生堂の魚谷社長、武田薬品のクリストフ・ウェバー社長のように、大手企業の社長職に異業種や海外企業から招いた人材が就任するケースが増えています。2015年7月21日(火)放送のガイアの夜明け「プロ経営者は会社を変えるか?」は、こうした「プロ経営者」をテーマにした興味深い回でした。
東京・葛飾区に本社を構える老舗の玩具メーカー「タカラトミー」(東証1部上場、証券コード:7867)。プラレールやトミカ、リカちゃん人形、ベイブレードといった数多くの人気商品を抱える大手おもちゃ企業の新社長に2015年春就任したのが、オランダ人のハロルド・ジョージ・メイさんです。
ここ最近はヒット商品が生み出せず、売上げが低迷していたタカラトミー。創業家3代目として30年にわたり社長を務めてきた富山幹太郎さんも、上場会社の経営を担える人材が自分を含めて社内にはいないと頭を悩ませていたそうです。
そこで富山さんは、ハイネケンの日本支社やユニリーバ・ジャパン、サンスターで勤務し、日本コカ・コーラでは副社長を務めた”プロ経営者”のメイさんを新社長として招きます。
社長就任後、ハロルド・メイ社長は62あった部署を50に削減し、管理職の平均年齢を5歳若返らせるなど、大胆な組織改革を実施します。ヒット商品を生み出すために、若い社員が自由にアイデアを出せるよう社長室のドアも開けっ放し、社員はアポなしで相談できるようにしたそうです。
さらに、2015年に発売から48年を迎える看板商品のリカちゃんも、ターゲットを子供だけではなく大人まで広げるため20〜30代の女性中心のプロジェクトチームを発足。ボディーラインや髪型、ファッションを大人っぽくした大人向けリカちゃんを開発し、2015年内には発売を予定しています。
2015年6月26日、東京・池袋のルミネには店舗ごとの流行ファッションに身を包んだ大人向けリカちゃんが至る所に配置されていました。SNS経由で大人向けリカちゃんの写真やクチコミが拡散するなど、イベントは大成功を収めたそうです。
番組後半、社長が60歳以上の会社にアンケートを取ったところ、そのうち49.8%が後継者なしと回答された衝撃の結果が取り上げられていました(帝国データバンク調べ/2014年)。経営が順調でも、中小企業の経営者の多くが後継者問題で悩んでいるようです。
長野県駒ケ根市にある、電子機器に使われる業務用機械メーカーの天竜精機も、後継者問題に悩んでいる企業でした。三代目社長の芦部氏はセレンディップ・コンサルティング株式会社に依頼し、M&Aで会社そのものを売却。
セレンディップ・コンサルティング株式会社が社長候補として連れてきたのが、大手メーカー日立のグループ会社に30年以上務めた、小野賢一さんでした。天竜精機の新社長に就任した小野新社長は、社内の予算管理を徹底し、年間目標を立て、進捗状況を確認するなど大手メーカー時代の経験を活かした経営をはじめます。
さらに、新規開拓を行うための強い営業を社員に教え、単身赴任の自宅に社員を招待し手料理をふるまうなど、社員の経験や信頼を高める施策も同時に実施します。
その結果、小野さんが社長に就任しておよそ半年、年間目標の22億円のうち19億円を達成することに成功。臨時ボーナスを社員にふるまうことで、さらに社員からの評価を勝ち取っていたようです。
番組最後にナビゲーターの江口さんも語られていましたが、外の世界を知るプロの経営者がしがらみや先入観なしに改革を進めることは、スピードの速い今の時代には非常に重要な事だと思います。信頼でき、社内に刺激を与えられるプロ経営者が、多くの日本企業に求められているのかもしれません。