発展途上国に広がる日本式の循環型ビジネスに真のグローバル企業を見る、カンブリア宮殿「中古車解体業に革命を!“車の後始末”で世界を変える町工場」視聴レビュー
金沢で車のリサイクルショーを開催している会宝産業株式会社が、2014年9月4日(木)放送のカンブリア宮殿「中古車解体業に革命を!“車の後始末”で世界を変える町工場」で取り上げられていました。日本に約2,500ある解体業者の中で最大手の会宝産業、その近藤典彦(こんどう・のりひこ)社長が登場した回になります。
番組によると日本国内では年間約530万台の新車が販売される一方、廃車になる中古車は約350万台に上るそうです。会宝産業では個人や法人から中古車を高値で買い取り、海外からやってきた中古車部品バイヤーに直接販売することで急成長を続けています。日本車は海外で新車だけでなく中古車需要も高く、修理するのに必要な部品需要も高まっているそうです。
海外需要に目を向けたことにより、石川県の小さな町工場として始まった会宝産業ですが、今では年間1万4,000台の自動車を解体し、売り上げの75%が海外輸出、取引相手も世界74か国にわたるまさにグローバル企業にまで成長しています。
会宝産業では中古部品全てをバーコードで管理し、データを見れば海外中古車部品バイヤーでも簡単に車の年式や走行距離などが分かるようになっています。また品質を保証する独自の規格を作り、客から信頼される商品を綺麗に展示しているのも特徴です。さらに、自社の在庫管理データを海外からでもネットで見て発注することができる独自のシステムを構築しています。
会宝産業の近藤社長は22歳で同社を設立して以来、裸一貫で金沢の町工場をグローバル企業へと成長させることに成功させたベンチャーの雄です。近藤社長世間から「クズ屋」と冷たい目で見られてきた自動車解体業を、誇りある仕事として認知してほしいという強い思いを抱えているそうです。
そこで近藤社長は『あいさつ日本一、きれいな工場日本一』を掲げ社員教育に力を注ぎ、業界を底上げするために車の解体技術者の資格を作り、人材育成の研修センターも立ち上げるなど、まわりから認められる自動車解体業スタッフを育成しています。
また近藤社長は自動車リサイクルを通じた環境保全への貢献を目的とするNPO団体RUMアライアンスを立ち上げ、18の同業者と共に環境保護の思想を広める啓蒙活動も行っています。解体業をエコ活動として、誇り高いビジネスになるよう業界全体の意識をも高めようとしています。
番組終盤、会宝産業の中古車部品を積み込んだコンテナが向かったのは、街を走る車の9割が日本の中古車というロシアのウラジオストクです。街には車の中古部品を扱う業者が200近くも点在し、日本から仕入れた中古部品を仕入れ値の3倍近くの値段で購入していました。
また現地の個人ドライバーも次々と中古部品を買い求めています。日本でゴミとされる部品が、海外では宝へと姿を変える瞬間を番組で目の当たりにできました。
近藤社長の目は発展途上国にも向けられています。途上国では廃車が不法に山積みにされており、錆びた鉄やプラスチックなどが環境を汚染しています。そこで会宝産業ではJICA(国際協力機構)と組んで、アフリカで最も人口の多い国ナイジェリアを皮切りに、発展途上国に日本の解体技術を一から教える取り組みを開始しているそうです。
村上龍氏の編集後記で「グローバルビジネスと聞くと、たいてい先進国をイメージする」と書かれていましたが、まさに当サイト管理人自営業者KENもその1人でした。
ただ今回のカンブリア宮殿を視聴し、会宝産業のような小さな会社が、多言語スタッフを揃え、在庫・販売履歴をITで一括管理し、世界で循環するビジネスを広げていくことこそ、本質的な意味でのグローバルビジネスなのだと考えを改めさせられました。日本の循環型ビジネスが、世界でどんどん広まってくれることを願いますし、そのために応援の投資模して行きたいと思います。