2015年の政界情勢を振り返れた未来世紀ジパング「池上彰が徹底解説スペシャル!『世界を動かした1枚の写真』」感想&評価
2015年12月21日(月)放送の未来世紀ジパング「池上彰が徹底解説スペシャル!『世界を動かした1枚の写真』」は、ジャーナリストの池上彰氏が2015年を象徴するニュース写真の裏側を解説する、考えさせられるジパング年末スペシャル回でした。
世界が激動した2015年、未来世紀ジパングが取り上げた1枚目の写真が、南シナ海の南沙諸島に中国が建設した人工島の写真でした。人気観光地でもあるフィリピン・パラワン島の漁師たちも南シナ海に中国が進出してきたことで漁獲量が激減しているそうです。
中国のハワイとも呼ばれる海南島では陸ガメやタイマイ、シャコガイなどの違法な密漁品が公然と売られ、一部の漁民は民兵の役割も担い政府から補助金も支払われているとのこと。海南島は南沙諸島に進出する中国の軍事拠点になっているようです。
アメリカで話題になっている書籍「china2049」の著者マイケル・ピルズベリー氏は、書籍内で「中国の100年マラソン戦略」を提唱しています。アメリカから支援を受けながら、100年をかけてアメリカを追い越すための中国のしたたかな戦略があるとのこと。最近の中国の動きを見ていると、この100年マラソン戦略は的を射ていると思います。
未来世紀ジパングのスペシャル回では、2015年10月に安倍首相と韓国の朴槿恵大統領が握手している写真が2枚目の写真として紹介されていました。そんな韓国では2015年11月14日に、10万人という大規模デモが起こっていました。
パリのテロによって日本ではあまりニュースになりませんでしたが、韓国の国定教科書に親日の右派が作成したものを採用すると朴槿恵大統領が宣言した事によって、反対する教師などを中心に大規模デモが発生したとのこと。朴槿恵大統領の両親の名誉回復と、日本との関係改善を進めるためには、やはり国内世論を変えていく必要があるようです。
3番目の写真はトルコの海岸に打ち上げられた、シリア難民のアラン・クルディ君(3歳)の痛ましい遺体写真でした。この写真が世界に広まったことで、欧州の首脳陣は難民受け入れへと大きく方針展開しました。
ただこの難民問題は一朝一夕で解決できるものではありません。176人しか住んでいないスロベニアの村には、ドイツ入りを目指す難民が7万人も押し寄せたそうです。将来的にはイスラム政権やイスラム政党がヨーロッパで樹立する可能性もゼロでは無いと思います。
最後の写真はオバマ大統領とプーチン大統領が膝を詰めてロビーで談話している写真と、中国の抗日勝利パレードに国連のトップ潘基文(パン・ギムン)事務局長が列席している写真でした。国連が機能していない、というメッセージでもあると思います。
2015年に70周年を迎えた国連ですが、シリア問題をはじめ、世界紛争の解決ではほとんど存在感を示せていないと管理人KENも思います。2016年5月の伊勢志摩サミットで日本のリーダーシップが増すことを期待しています。