トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」の現実を知る、未来世紀ジパング「池上彰・連続SP ピケティで大注目!超・格差社会」視聴レビュー

2015年4月20日(月)放送の未来世紀ジパング「池上彰・連続SP ピケティで大注目!超・格差社会」は、ジャーナリストの池上彰氏が登場し、今話題のトマ・ピケティの経済書「21世紀の資本」がテーマとして取り上げられた非常に興味深い回でした。

韓国ソウル市のセレブ街の外れに、低所得者約1000人が居住する貧困村があります。行政側は高層マンションを建設するため、貧困村の住民を強制排除。広がる格差を実感する瞬間です。

フランスの経済学者トマ・ピケティが書いた経済書「21世紀の資本」が世界中で大ヒットし、日本だけでも発行部数が14万部を突破しています。資本主義の下で格差は拡大する、と唱えるトマ・ピケティ氏。番組では世界で広がる格差の事例として、アメリカ、中国、韓国の3か国の格差の現場を取材していました。

ニューヨーク・マンハッタンは今、かつてない超高級マンションブームが盛り上がっています。セントラルパークを一望できる、マンハッタン一の高さを誇るマンション「ONE57」の物件価格はなんと34億円!それでも飛ぶように売れているそうです。

不動産価格が上昇することで、メキシコ料理店など昔ながらの大衆レストランは家賃を払えず店じまいを余儀なくされています。また歯の保険が払えず治療を受けられない人々が歯科医師による無料イベントに2000人以上が行列を作るなど、アメリカの格差は深刻化しています。

アメリカ・ヒューストンにあるアメリカの超富裕層1%が住む住宅エリアがあります。番組ではこの場所に住む元コンチネンタル航空CEOのゴードン・ベスーン氏を取材。総資産80億円以上を持つゴードン氏の自宅には趣味の時計や拳銃のコレクションが大量に保管されています。

また超富裕層であるベスーン氏は湖や油田もある東京ドーム104個分という広大な別荘も所有しています。彼は番組の取材に富裕層がさらに収入を増やす現実を認めつつ、スティーブ・ジョブズのように努力する人が高い収入を得るのは当然と語っていました。

一方、シアトルの住宅価格の高騰で家賃を払えなくなったアメリカの人たちは、「テント村」に居住して仕事場に通う生活を送っています。健康で仕事があっても、家に住めない。そんな厳しい現実がアメリカでは広がりつつあるようです。

トマ・ピケティ氏が提唱する「 r > g 」の公式。rは株・預貯金・不動産などによる資本収益率、gは給料など経済成長率を表しています。18世紀以降、年平均で4~5%増え続けるrに比べ、gは1~2%しか増えていません。資本家は莫大な財産を引き継ぐことでどんどん富を増やし、一般人は給料の伸び悩みに苦しむ構図が「r>g」の式であらわされています。

番組後半、カジノで有名なマカオに中国本・深圳から富裕層一行が押し寄せ、競争馬に投資し競馬を楽しむ模様が放送されていました。中国富裕層の地元、深圳には今、経済成長から取り残された人々がいます。

「裸老族」と呼ばれ家も財産もなく、年金も受け取ることができない農民工、農村出身の出稼ぎ労働者です。1980年代の改革開放政策のもとで、内陸部から豊かになることを夢見てやってきた出稼ぎ第一世代の農民工は今、財産も年金も無いため貧困生活を余儀なくされています。共産主義と言いつつ、資本主義に使い中国の実態を表している現実です。

沸騰ナビゲーターの池上彰氏は「日本の格差」の問題として、年収が低い人たちが増えていることを問題視されていました。高齢化が進み、派遣社員やパートなど非正規社員が増えている事が要因です。

トマ・ピケティ氏は日本が格差問題を解決するために、資産がなく所得も少ない若い世代を優遇する税制に変えるべきだと語られていました。資産家への累進課税をもっとやることで、若い人たちの教育費などにまわす。こうした取り組みが格差を減らしていくと唱えられています。

努力するものが正当な対価を得るのは当然なことだとは思いますが、莫大な資産を築いた超富裕層に対しては、国の未来に投資する意味でももう少し税金を払ってもらうような仕組みがあっても良いと個人的には思います。

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