地域住民の実行力が生んだ南生協病院や真庭バイオマス発電所、ガイアの夜明け「いま、地域革命が始まる!」視聴レビュー

2015年4月21日(火)放送のガイアの夜明け「いま、地域革命が始まる!」は、住民のアイデアと実行力が地域・地方を変える、様々な取り組みを追った回でした。番組では愛知県名古屋市緑区の南医療生協や、岡山県・真庭市で2015年4月に開業した大規模バイオマス発電所が紹介されていました。

日本創成会議の集計によると、全国には1741の市区町村がありますが、そのうち約半分の896が少子化や人口減少によって消滅の可能性がある“消滅可能性都市”です。そんな中、住民たち自らの手で地域革命を起こそうと動き出している都市もあります。

その事例の1つが、名古屋市緑区の住宅街に立つ大きな建物「総合病院南生協病院」です。南医療生活協同組合によって設立された南生協病院は一見普通の総合病院ですが、中にはおしゃれなカフェやコンビニ、旅行代理店に図書館、フィットネスクラブ、さらには天然酵母のベーカリーやオーガニックレストランに料理教室、3つの保育所、助産所までもが併設されています。

愛知県南部で活動する南医療生協の組合員数は7万人以上。四年近い歳月をかけ組合員による「千人会議」を繰り返し、病院総工費100億円のうち20億円を自力で集めることに成功しました。南生協病院の病院とは思えないような施設の数々は、生協の組合員の”声”から生まれたものだったのです。

2015年3月下旬、南医療生協によって新たな施設「南生協よってって横丁」が病院の隣に建設されました。3階から8階まではサービス付き老人ホーム&高齢者向け住宅で、1階には地域住民が世代を超えて集えるフリースペースもあります。各世代が混ざり合って地域を盛り上げる素敵な場所だと思います。

番組後半に紹介されていたのが、人口4万9,000人の岡山県北部に位置する真庭市です。県内で最も広い面積を持つものの、その8割は山林を占められます。建築用の木材「美作ひのき」の産地として知られ、江戸時代から続く林業の町でもあります。

しかし国内林業の低迷で伐採された美作ひのき(=間伐材)は売れずに放置され、また間伐材が売れて加工されてもそこから出て来る木屑や廃材等は”やっかいもの”として地域コストになっていました。

こうした”やっかいもの”を地域活性に利用するため、地元の製材会社「銘建工業」は自家製の発電所「木質バイオマス発電施設」を17年前に建設しました。木くずを燃料にできるため、それまで2億円かかっていた工場の電気代が無料に、さらに電機会社に売電することで年間5,000万円の売上につながっています。

また銘建工業と岡山県真庭市は国内最大規模となる1万キロワット(約2万2000世帯分/年)のバイオマス発電設備「真庭バイオマス発電所」の稼働を2015年4月から始めました。発電した電力は年間約21億円もの売電収入を見込んでいるとのことです。

番組公式サイトによるとバイオマス事業によって新たな雇用も創出され、すでに発電所では運転要員として15人の新規雇用が起こり、ほかにも木材収集などの関連事業で雇用効果は全体で180人程度になるそうです。

行政に頼り切るのではなく、南生協病院や真庭バイオマス発電所のように地域住民のアイデアや実行力あってこその地域活性化なのだと、今回のガイアの夜明けを見て改めて実感しました。

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