日本食ブームを日本の漁業の追い風に!未来世紀ジパング「日本の“新鮮力” 世界に捕れたての味を!」視聴レビュー
和食はもちろん、焼き鳥やラーメン、うどん、とんかつ等など世界中で日本食ブームが起きていますが、残念ながら日本の漁業はその恩恵を受け切れていません。2015年4月13日(月)放送の未来世紀ジパング「日本の“新鮮力” 世界に捕れたての味を!」は、日本の新鮮で美味しい魚を世界に広める人たちに密着した回でした。
日本食のレストランが沢山あるシンガポールには、寿司店も多く軒を連ねます。日本の寿司ネタと言えばマグロですが、海外ではノルウェーやチリ産のサーモンが一番人気です。輸送コストもかかるため、日本の魚はシンガポールでは刺身として振る舞われていません。
そこで日本の漁業の協同組合「全漁連」(JFグループ)では、日本の新鮮な美味しい魚を食べてもらおうとシンガポールに“日本全国の旬な魚しか出さない”飲食店「わだつみ」をオープンします。まぐろやアジ、ブリ、ホタテなど日本産の魚介にシンガポール在住の外国人が舌鼓を打つ模様が放映されていました。
日本の新鮮な魚を海外に届けるには、スピードと新鮮さを保つ技術の両方が必要です。そこでANA(東証1部上場、証券コード:9202)とヤマト運輸(東証1部上場、証券コード:9064)が手を組み、日本の海産物をアジアにいち早く届けるサービスを始めていました。
この仕組みにより例えば青森の市場から発送されたヒラメは仙台空港から伊丹空港、そして24時間発着が可能な那覇空港を経由して、翌日の昼過ぎには香港の回転寿司店で普通に食べられるようになっています。
また今回の未来世紀ジパングでは、魚の鮮度を保つ様々な技術が紹介されました。まず最初に紹介されたのが、丸福水産の「ナノ水」です。ナノフレッシャーという機械からナノバブルと呼ばれる超微細な窒素を噴射することで、魚の鮮度を落とさないで輸送できるのがポイントです。
続いて岐阜県の富士商工が開発した、魚を仮眠状態にする「ノバフレッシュ」も紹介されていました。まだ開発段階の技術とのことですが、仮眠状態の魚を郵送する仕組みが実現されれば、より新鮮に魚を世界中に送ることが可能になります。
3番目に紹介されたのが、千葉県流山市にあるアビーという会社が開発した「CAS付き冷凍庫」です。ただ凍らせるだけではなく、磁力や光、音など8つの力を加える特殊な冷凍装置です。4年前のタコを解凍すると吸盤が吸い付くなど、生命体としては死んでいるが細胞は生きている状態で保存できる技術です。
沸騰ナビゲーターの後藤康浩さん(日本経済新聞社編集委員)は魚は売りっぱなしではなく、食卓まで美味しい魚を届けることが重要だと解説されていました。包丁と魚のセット販売など、取れる施策はまだまだありそうです。