ナムグムダム等のダム水力発電がASEAN諸国全体の屋台骨に!未来世紀ジパング「日本との固い絆!知られざるモザイク国家 ラオス」視聴レビュー
2014年10月27日(月)放送の未来世紀ジパング「日本との固い絆!知られざるモザイク国家 ラオス」は、メコン川クルーズが人気となっている東南アジアの国ラオスが取り上げらえた回です。ラオスはニューヨークタイムズで“世界で行きたい国第1位”に選ばれるとともに、安い人件費を理由に日本をはじめとした海外企業の進出が増加しています。
ASEAN10カ国の中で唯一、海に面していない国ラオス。カンボジア、タイ、ミャンマー、中国、ベトナムの5か国に接しており、モザイク国家とも言われるほど海外文化の影響を受けています。例えば元々フランス領だったこともありランチの定番はフランスパンのサンドイッチ、中国の影響を受けた健康ダンスを踊り、同じ社会主義の北朝鮮レストランが人気になるなど、実に様々な国の影響を受けています。
6年前に日本企業としていち早く進出した安全靴が主力商品のミドリ安全。600人のラオス人従業員は素直で言われたことは必ずやる、日本人との相性も良い国民性だそうです。ただ番組を見ていると発展途上国で社会主義国ということもあり、ラオス人従業員は多少怠け癖があるようです。
1960年~1975年のベトナム戦争によって、隣国であるラオスも多くの被害を受けました。ラオスは世界で一番多くの爆弾を落とされた国でもあります。ラオスの東部地域には、2億発ものクラスター弾が落とされたといわれており、今も8000万発が不発弾として残っているそうです。その不発弾を除去しているのが、日本人の率いるチームです。
日本が世界に誇る爆弾処理専門のNGO、JMAS(認定特定非営利活動法人 日本地雷処理を支援する会)のラオス事務所では、ラオス国内で7万5千発以上の不発弾を処理してきました。番組でも実勢にクラスター爆弾処理の模様が放映されていましたが、わずか100メートル四方の場所で40発もの不発弾が発見されていました。
爆弾処理をした広大な土地に、ラオスに9年前に進出した漢方薬のツムラ(東証1部上場、証券コード:4540)は生薬の一大産地にすべく農場を建設。ラオス国民の雇用にもつながっています。日本で土地を確保するのではなく、ラオスに目を付けたツムラの視点は素晴らしいと思います。
国土の約8割が山岳地帯のラオスには、ナムグム湖という巨大な湖があり、そこにはナムグムダム(水力発電)が建設されています。このナムグムダムのおかげで、ラオスはタイなどの周辺国に電力を供給し、“東南アジアのバッテリー”とも呼ばれるまでになっています。
40年間壊れることなく働き続けているナムグムダムは、世界からダムのカリスマと呼ばれた男、日本工営(東証1部上場、証券コード:1954)初代社長の久保田豊氏率いる日本の技術チームによって建設されたそうです。
間組や日立製作所もプロジェクトに参加し、日本の威信をかけた日の丸プロジェクトとしてラオスのダム建設は始まりますが、当時のラオスは内戦中。日本人技師も数名、命を落とし、プロジェクト継続も危ぶまれる事態に直面したそうです。
そこで久保田氏はラオス首相や欧米のダム出資者を集め、「ナムグムダムなしにラオスの未来はない!」と熱弁。国連をも動かし、ダム周辺での戦闘停止の呼びかけにもつながります。今では日本の技術をもとに、ラオス国内には21基ものダムがあるそうです。
沸騰ナビゲーターの後藤康浩氏(日本経済新聞社 編集委員)は、未来予測で「ASEAN成長の屋台骨に!」を掲げられていました。着実に成長を続けるASEANですが、この先さらに巨大な経済圏になるためには「電力」が非常に重要です。
ベトナムやカンボジア、ミャンマーなど日本企業も多く進出している東南アジア各国では、毎日何度も停電が起き、工場の操業が止まることも日常茶飯事です。東南アジアのパッテリーと呼ばれるラオスでは現在21基あるダムを今後80基まで増やす予定とのこと。これが実現すれば、ASEAN地域での安定定期な電力供給につながり、ASEAN全体の経済成長を大きく後押ししてくれそうです。
当サイト管理人の自営業者KENはラオスという国は今まであまり注目していませんでしたが、今回の未来世紀ジパングを視聴したことで日本企業にとっても重要な国であることを痛感しました。ツムラのようにラオスに進出している企業にも着目して行きたいと思います。