富士通の特許技術とキングジムの開発会議が面白い!ガイアの夜明け「企業の“埋もれた技術”を活かせ!」視聴レビュー

2015年1月20日(火)に放送されたガイアの夜明け「企業の“埋もれた技術”を活かせ!」は、誕生から130周年となる“特許”を取り上げた回でした。日本の特許第1号は、堀田瑞末さんが開発した船に塗る錆び止めの塗料だそうです。

現在、日本で認められている特許は約146万件も存在しますが、そのうち半数近くの約71万件が利用されていない特許になっています。今回のガイアの夜明けでは、こうした埋もれている特許という宝の山に光を当てた非常に興味深い内容でした。

2013年に特許を取得した企業ベスト10は、第1位がパナソニックの7,063件、第2位がキャノンの5,793件、第3位がトヨタ自動車の5,387件と、日本のものづくりを支えてきた電機や自動車メーカーが上位を独占しています。

特許庁によると特許の申請は年間約33万件もあり、取得までは平均1年8ヵ月かかるそうです。ちなみに、日本の特許の有効期間は20年間です。

神奈川県川崎市で1935年に創業した総合通信機器メーカーの富士通株式会社(東証1部上場、証券コード:6702)、様々な最先端技術を開発し膨大な数の特許を取得しています。富士通が所有する特許は約10万件もあるそうです。

しかし、特許を取得した全ての技術が製品化に結びついている訳ではありません。番組で紹介されていた玉虫色の金属や熊の人形のカーナビなどは、製品化されずに地下に眠っています。こうした特許技術を維持するためにかかる費用は年間数十億円にものぼり、富士通の悩みの種となっていました。

そこで富士通では3名の特命チームが立ち上がり、自社の特許技術を活用してもらえるよう日本全国の中小企業に売り込みを始めます。中小企業にとっても富士通という大企業の技術を使えるメリットは大きく、コラボレーションした製品が生まれつつあるそうです。

例えば、和歌山県にある繊維メーカーの林撚糸株式会社は、富士通が開発した抗菌作用のある粉「チタンアパタイト」を和紙に混ぜ、抗菌作用のある和紙ポロシャツ「ワシテックスFT1」を作り出すことに成功します。

抗菌作用のあるポロシャツは、通信機器メーカーである富士通だけでは生み出せなかった製品ですね。大企業の特許技術を使って、中小企業が優れた商品を生み出す、コラボの成功例だと思います。個人的にもワシテックスは一着購入してみたいです。

累計5億冊もの売り上げを誇る書類ファイル「キングファイル」に、簡単にラベルを作れる「テプラ」といったヒット商品を世に送り出してきたオフィス文具メーカーの株式会社キングジム(東証1部上場、証券コード:7962)。

キングジムでは現在、他社の技術を活かしてアイデア商品を次々に生み出しています。例えば、オフィスの給湯室などで役立つジューサーミキサーのプロペラを利用した小型洗濯機「スウォッシュ」や、部屋を掃除するコロコロの技術を応用したスマホ画面用の「iコロコロ」などです。

キングジムがこうしたアイデア商品を開発するようになったのは、パソコンにデータが保存できるようになり、書類が減るという危機感があったからだそうです。

番組ではキングジムの新商品の開発会議を取材していましたが、社長や幹部たち参加者のうち1人でも新製品のアイデアに賛成すれば、すぐに商品化が決まるという珍しいものでした。

キングジムの宮本彰社長には、「発売してみなきゃわからない。10本のうち1本当たればいい」という口癖があるそうです。結果として売れず在庫の山となってしまうものも多数あるそうですが、アイデアを簡単につぶさないことを優先することで思いもしないヒット商品が生まれる事も多いようです。

番組終盤で紹介されていた光を蓄える「蓄光シート」を使った掲示板は、電気が通っていない途上国などで人気商品になると思います。特許技術は日本の貴重な資源です。世界に広まる商品に活用される事を願します。

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