天然ガスで急成長!未来世紀ジパング池上彰スペシャル「謎の“新”資源大国 ~第1弾 謎の国・トルクメニスタン~」視聴レビュー
2014年10月6日(月)放送の未来世紀ジパング「謎の“新”資源大国 ~第1弾 謎の国・トルクメニスタン~」を視聴しました。前週がお休みだったこともあってか、ジャーナリストの池上彰さんが登場した90分のスペシャル回です。
池上彰氏が注目し続けてきた国が、今回のテーマでもある「トルクメニスタン」です。中央アジアの北朝鮮とも呼ばれる国に降り立ったのが、番組MCのSHELLYさん。数か月に及ぶ交渉の末、報道の自由度ワースト3位のトルクメニスタンから特別に取材許可が下りたそうです。
トルクメニスタンは永世中立国であり、ニヤゾフ大統領という個人崇拝の国としても有名でした。ニヤゾフ大統領の独裁政策としては、インターネットやバレエ、オペラ、外国映画などの禁止、地方図書館や地方病院の閉鎖、大統領が大好きなメロンの祝日制定、言論統制にコンサート口パク禁止など、厳しいものから以外なものまで番組で紹介されていました。
トルクメニスタンの首都・アシガバートは、世界で最も大理石の建物が密集している首都としてギネスブックにも登録されているそうです。砂漠の風景から、突然、白く磨き上げられた不思議な街並みが広がっています。
トルクメニスタンには他にも世界最大の“屋内”観覧車や、世界最大の“星形”建造物、世界最大の”絨毯”などなど、ギネスブックにも掲載されるような世界一が大統領の命令で数多く存在しています。
番組中盤、SHELLYさんがトルクメニスタンの書店やテレビ局に訪問し、取材していました。書店で目立つのは大統領関連の本ばかり。大統領の写真集や大統領の料理本も売られていて人気だそうです。
そして書店でも国営テレビ局でも、取材中にはトルクメニスタン政府の役人が目を光らせ、不適切な取材をしていないか厳しく監視していました。ただそんなトルクメニスタンも、2代目のベルディムハメドフ大統領になってから少しずつ開放路線へと変わり始めているそうです。
世界最大の湖「カスピ海」をのぞむ街アヴァザは、トルクメニスタン有数の観光地です。2014年8月には、日本を含む世界各国からアーティストが参加したアヴァザ音楽祭も開催されました。現大統領の政策で海外の音楽は受け入れられるようになったそうです。
番組MCのSHELLYさんは子どもが9人もいるトルクメニスタンのドウレットさん一家を訪問します。彼らが住んでいるのが家も家具も大統領からのプレゼントだと言う400㎡以上の通称“エリートハウス”です。子供が8人以上いる家庭にはこのエリートハウスが無償提供されるそうです。産めよ増やせよという国の政策が表れていますね。
ベルディムハメドフ大統領は他にもニヤゾフ大統領政権下では禁止されていたインターネットや海外の芸術、地方の図書館に病院を解禁と、着実に開放路線を進めているようです。
トルクメニスタンでは電気やガス、水道、医療費、さらには大学の学費まで無料と、国民の暮らしは決して悪くはありません。国民生活が豊かだからこそ、独裁政権が成功しているのでしょう。
トルクメニスタンの富の源泉は、燃え続ける“地獄の門”でも有名な「天然ガス」です。2006年、世界で2番目の埋蔵量を誇る「ガルキニシュガス田」が発見されたことで、トルクメニスタンは一気に新資源国として台頭します。
2013年にはガルキニシュガス田に巨大ガス精製プラントが建造され、国営ガス公社のトルクメンガス社が運営管理を行っています。しかし施設内には中国語の張り紙が多数。なぜなら、この巨大ガス精製プラントの設計や建設を行ったのが中国の国営企業だったからです。そしてトルクメニスタンの天然ガスが輸出される主要先も、7,000kmにも及ぶ長大なパイプラインでつながっている中国です。
トルクメニスタンでは今、日本ブームの兆しがあるそうです。大学では日本語学科がもっとも人気があり、トルクメニスタンの巨大バザーでは日本製品を語った中国製のエセ日本製品が売られています。トルクメニスタンでも日本製は性能がいい、というイメージがあるそうです。
そんなトルクメニスタンで最も人気のある自動車メーカーが、トヨタ自動車(東証1部上場、証券コード:7203)です。トルクメニスタン国内におけるトヨタ車のシェアはなんと60%!トルクメニスタンのトヨタ1号店では、1台約500万円のプラドが富裕層に人気だそうです。
トルクメン語でトヨは結婚式、オタは草原を意味することから「結婚式から草原まで」というキャッチコピーをトヨタが付けたところ、これがトルクメニスタンで大ヒット。トヨタの新車が次々と売れているそうです。
また、コマツ(東証1部上場、証券コード:6301)もトルクメンスペックと呼ばれるアームが長い特別仕様のショベルカーを開発・販売したことで、川底の泥がすくいやすいとトルクメニスタン国内で高い支持につながっています。
2011年にはベルディムハメドフ現大統領が参加し、日本とトルクメニスタンの巨大プロジェクト起工式が執り行われました。それが双日(東証1部上場、証券コード:2768)と川崎重工(東証1部上場、証券コード:7012)が建設を請け負った巨大化学プラントです。プラントではトルクメニスタンの豊富な天然ガスを使って、農業用の肥料や化学繊維、さらにはガソリンまで製造する事ができるそうです。
沸騰ナビゲーターの池上彰氏は未来予測で「スタンが変わる!」を掲げられていました。“スタン”が付く国はこれまで治安が悪い等のマイナスのイメージを持たれてきましたが、そこに内からイメージを変えようという動きが出てきているそうです。
また、天然ガスのほかにも石油や金などの資源が豊富な地域として、スタンの国々は外国からの見る目も変わってきているとのこと。あとは池上さんも話されていましたが、言論と報道の自由がどこまで広がるかどうかがカギになるでしょうね。