東日本大震災に負けない八木澤商店の熱い取り組み!カンブリア宮殿「激変した老舗しょうゆ蔵 中小パワーこそ地方再生の底力だ!」視聴レビュー
2015年3月5日(木)放送のカンブリア宮殿「激変した老舗しょうゆ蔵 中小パワーこそ地方再生の底力だ!」には、東日本大震災から会社を再建させた岩手県陸前高田にある江戸時代から続く老舗のしょうゆ&味噌メーカー「八木澤商店」の河野通洋(こうの・みちひろ)社長が登場されました。
2015年2月に都内で開催された東北復興イベント「飛鳥山グルメフェス」でひときわ長い行列を作っていたお店も、“おらほの味噌”を販売する老舗の醤油味噌メーカー、八木澤商店です。
八木澤商店の商品は「楽天市場」でも多数販売されています。醤油や味噌だけでなく、ギフトセットもネット通販で人気のようです。
河野通洋社長が率いる陸前高田で200年の歴史を誇る八木澤商店。八木澤商店は震災当日、本社と工場の全てを流され、社長以下誰もが廃業を覚悟したそうです。しかし専務として経営を切り盛りしていた当時37歳の河野氏は被災直後の4月1日に「パートも含めて雇用は全員維持することをお約束する!」と宣言。そしてその日に父親から社長業を引き継ぎます。
震災の1年半後には新工場を建設。自社でのしょうゆ作り再開にこぎつけます。壊滅的な被害を受けた既存の取引先に変わり、三陸の食材を使ったこだわりのスープブランド「madehni(までーに)」を三陸沿岸の津波で全壊した食品関係のメーカー4社を集めてイタリアで開発、一般顧客向けに販売開始します。
番組ホームページによれば、自社工場の再建にはクラウドファウンディングという最新の手法で資金を集めたそうです。2014年11月には震災で流出した「もろみ」を使った醤油「奇跡の醤(ひしお)」も発売しています。
またスイーツ事業を始め、自慢の味噌を使ったケーキをヒットさせるなど、震災という逆境の中で今まででは考えられないチャレンジを行ってきたことで、震災前の7割の売り上げまで回復してきているとのこと。
そんな河野社長は震災以降、中小企業の連携に可能性を感じており、実際に様々な企業と連携して活動しています。若い頃は「ビジネスは利益至上主義」と自分の会社の社員を省みることもしなかったそうですが、中小企業家同友会という組織で河野社長はその考えを「社員第一主義」に一変させられたそうです。
その思い出を河野社長が番組で語られていましたが、1月時点で今季は赤字になるから社員の給料を上げられないと中小企業家同友会のメンバーに話したところ、なぜ決算の3月末まで全力で頑張らないんだと叱られたそうです。
その言葉で目が覚めた河野社長は社員と共に3月末まで全力で頑張り、ギリギリ赤字を回避できたとのこと。この経験が震災でも雇用を守るという理念につながっているのだと思います。
岩手県中小企業家同友会に参加している河野社長やメンバーによって震災後、新たに作られた会社が「なつかしい未来創造株式会社」です。被災地を活性化するための新規事業をサポートし、起業アイデアに対して最大250万円を支援する会社です。
なつかしい未来創造社の資金で、地元の木々をふんだんに使った宿泊事業「箱根山テラス」や、震災後需要が高まっている「訪問リハビリ」など、様々な実績が生まれています。
番組終盤に紹介されていた神奈川県座間市にオープンした美容院「ラポールヘア 小田急相模原店」はママ美容師のためのお店です。夕方5時までしか営業せず、日曜祝日も休みです。このビジネスモデルは被災地で多くの美容室の廃業を目の当たりにしたことで生まれたそうです。
被災地で生まれる新しいビジネスモデルは、少子高齢化という問題を抱える日本の未来にとっても大きなヒントになるものが多いと思います。ただそのためには、目先の利益ではなく、人に役に立つという義の心が非常に重要だと今回のカンブリア宮殿を見て再確認しました。