ルパン三世とも縁の深い北海道浜中町が取り上げられた、カンブリア宮殿「ハーゲンダッツの濃厚ミルクの産地!奇跡を起こした“闘う農協”」視聴レビュー
2014年8月14日(木)放送のカンブリア宮殿「ハーゲンダッツの濃厚ミルクの産地!奇跡を起こした“闘う農協”」を視聴しました。番組名の通り、あのハーゲンダッツの原材料としても採用されている、乳脂肪分4.0の高品質な牛乳を年間通じて生産する酪農の町、北海道浜中町。その浜中町農協組合長である、石橋榮紀(いしばし・しげのり)氏が登場された回です。
番組の冒頭、横浜にある大人気ケーキ店「スイーツガーデン ユウジアジキ」が紹介されていました。食べログ評価で日本No1を誇るこのケーキ店で使われているのが、タカナシの北海道4.0牛乳です。乳脂肪分が成分無調整ながら4.0と非常に高く、一般のスーパーでは手に入らない高級牛乳でもあります。
この「4.0牛乳」を一年を通じて生産しているのが、北海道の東の端に位置する人口およそ6,300人、2万頭の牛を飼育する浜中町です。浜中町の町中には「ハーゲンダッツの故郷」と書かれた看板もあります。
というのも、北海道・浜中町の牛乳は全国で見ても品質が高いとして、1984年にハーゲンダッツが日本に進出して以来30年間、ハーゲンダッツのアイスクリームの原料として採用されているからです。
そんな全国トップクラスの高品質な牛乳を支えているのが、全国で浜中町農協しか造っていない「酪農技術センター」です。30年前に作ったこの技術センターを活用して浜中町農協は、各牧場が生産する牛乳だけでなく、牧草の栄養や土壌の状態まで全てをデータ分析し、牛乳の品質を徹底的に高めてきました。
行政や中央農協に反対されながらも酪農技術センターを浜中町に造ったのが、今回のカンブリア宮殿のゲストでもある農協組合長の石橋榮紀氏です。農協の使命は「組合員である農家のサポート」と断言し、酪農技術センター以外にも石橋組合長は様々な改革を進めてきました。
例えば、1年中休みのない酪農家が休みを取れるようヘルパー制度を導入したり、住民が買い物難民にならないよう赤字覚悟でスーパーを経営したり、浜中町就農者支援牧場を作ったりと、酪農農家のための取り組みを全国でも先立って始めています。
とくに就農者支援牧場は1991年に全国で初めて設立したもので、現在も4組の夫婦が研修中とのこと。3年間の研修期間中に一人前になれるよう支援・指導を行い、そして5年のリースを経て購入という流れになります。現在、年1戸のペースで新たな酪農家が生まれているそうです。
浜中町の酪農家184戸のうち、なんと約2割に当たる34組が外部からの新規就農者。後継者がいる農家は全国平均で約4割という中、浜中町では70%にも上っています。全国で年々増える耕作放棄地も浜中町はゼロ、15,000ヘクタールの広大な農地が有効活用されています。
村上龍氏の編集後記でも触れれらていましたが、石橋組合長のような異端児が利他の精神で本気で改革に取り組むことで、地域の再生という正統性を獲得するようになったのだと思います。
ビジネス系の番組や雑誌、新聞等でも農協がネガティブに取り上げられるケースが少なくありません。ただ、浜中町農協の石橋組合長のような異端児がどんどん増えてくれば、農協は日本の農業を世界に広める大きな力になってくれると、今回のカンブリア宮殿を見て感じました。
ちなみに、番組終盤でサラッと紹介されて説明がなかったルパン三世の看板。実は北海道浜中町は、「ルパン三世」の原作者モンキー・パンチ氏の生まれ故郷なんです。ルパンフェスティバルなど『ルパン三世 はまなか宝島プラン』という町おこしも2011年始められています。
コメント
>番組終盤でサラッと紹介されて説明がなかったルパン三世の看板。
なぜ説明がなかったんでしょうね。。