H.I.S.のラグーナテンボス、そして岡本製作所の中古アトラクションが遊園地を救う!ガイアの夜明け「いま、レジャー施設が大変貌!」視聴レビュー
2015年1月27日(火)に放送されたガイアの夜明け「いま、レジャー施設が大変貌!」は、日本の遊園地やテーマパーク、そして遊具(アトラクション)といったレジャーを取り上げた回でした。
ディズニーランドやUSJの入場者数が好調で、大幅に値上げされるというニュースも流れていますが、施設数で見ると勝ち組と負け組がはっきり分かれているのが日本のレジャー施設の現状です。
番組によると、1853年に開園した浅草花やしきが日本で一番最初にできた遊園地だそうです。兵庫県の宝塚ファミリーランドは1952年に日本で初めてとなるジェットコースター「WAVE COASTER(ウェーブコースター)」を導入した遊園地です。
そして1983年に東京ディズニーランドがオープンし、以降、テーマ性を持たせたいわゆる“テーマパーク”と呼ばれるレジャー施設が全国に広がっていきます。しかしバブル崩壊後、1993年をピークに施設数は減少に転じます。
1961年にオープンした奈良県の「奈良ドリームランド」は2006年に閉演されたテーマパークです。リーマンショックで再生計画は延期され、再生プランは棚上げされたままの状態になっています。
一方、再生に大成功したのが長崎のハウステンボスです。日本初のドーム型シューティングゲームや元宝塚によるショー、そしてイルミネーションなどH.I.S.(東証1部上場、証券コード:9603)の沢田会長のテコ入れによってわずか1年で黒字化を達成しました。
そんなH.I.S.が次にテコ入れを始めたのが、愛知県・名古屋市から車で1時間半の蒲郡市にある「ラグーナ蒲郡」です。2001年に愛知県やトヨタ自動車などが出資する第三セクターが運営する施設として開業しましたが、USJやナガシマスパーランドのような近隣テーマパーク遊園地との競争が激化し、年々入場者数が減少。2013年度末には77億円の負債を抱え経営危機に陥っていました。
ラグーナ蒲郡は集客のほとんどを施設内にある巨大プールに頼っていたため、夏だけ客が来てそれ以外のシーズンは集客に苦しんでいる現状がありました。そこで2015年6月、大手旅行会社のH.I.S.の巽泰弘(たつみやすひろ)社長が乗り込み、秋と冬に客を呼び込む施策を打ち始めます。
その目玉となる施策の1つが、日本初の四面を使った3Dプロジェクションマッピングです。またハウステンボスで人気の「ピノキオ」も誘致し、直営レストランとして味とサービスに責任を持った運営を始めます。
2014年11月14日、ラグーナテンボスに名称を変更しリニューアルオープンします。名古屋からHISツアーバスに乗ったお客さんも多数集まり、普段の10倍となる3,000人以上の来客数を達成したそうです。
プールを使った3Dマッピングショーなど新たな取り組みも追加し、2014年12月のラグーナテンボス入場者数は前年の約2倍となる10万6,000人になったとのこと。入場料を値上げして、さらに集客を倍にするのは素晴らしい成果だと思います。ラグーナテンボス、機会があればぜひ訪れてみたいと思います。
番組後半は、レジャー施設の中古アトラクションに光をあてた興味深い内容でした。レジャー施設が新しくアトラクションを導入するには、時に億単位にもなる莫大なコストがかかります。人気のジェットコースターを設置しようとすれば、最低でも5億円以上はかかるそうです。
そこで格安で目玉アトラクションを設置するための方法として、”中古”のアトラクションが今注目されているとのこと。大阪の遊具メーカー、岡本製作所では閉園した遊園地のジェットコースターや観覧車、メリーゴーラウンドなどを買いとり、整備や修理をした上で主にアジアの国々や予算の無い国内遊園地に格安で販売しています。
集客に悩む東京ドイツ村は新品の3分の1という格安価格で、岡本製作所からバイキングとティーカップを購入していました。2015年の夏は東京ドイツ村に新しいアトラクションが増えそうです。
遊園地の再生は雇用も生み出し、子供たちの笑顔も増やせるため、地方再生にもつながると思います。H.I.S.のようなレジャー施設再生ノウハウのある企業と、岡本製作所のような中古アトラクション専門会社のビジネスは、集客に悩む地方レジャー施設の強い味方になってくれることでしょう。