リキッド発酵飼料、ドライいちご、みかんの低温貯蔵技術など、ガイアの夜明け「画期的アイデアが人気農産物を生む!」視聴レビュー
2014年7月1日(火)に放送されたガイアの夜明け「画期的アイデアが人気農産物を生む!」は、当サイト管理人の自営業者KENも興味を持っている日本の農業についての回でした。株式会社日本フードエコロジーセンターの養豚業者向け「リキッド発酵飼料」、群馬県・農業技術センターの“やよいひめ”ブランドの「ドライいちご」、そして愛媛県のみかん研究所が開発した「低温貯蔵技術」が紹介されていました。
番組の冒頭で紹介されていたみかんのブランド「清美」は、20年前は1個約150円で店頭で売られていたそうですが、今は約100円と3割以上値下がりしているそうです。品種の開発が進んだことで、3~4月に競合が多く生まれ結果として値下がりにつながっています。
そこで、愛媛県宇和島市にある「みかん研究所」はみかんを長期保存できるという画期的な技術の開発に成功しました。カワラヨモギの抽出液と特殊フィルムを使うだけという簡単な技術で、競合の少ない6月以降の夏に販売し、価格も高く設定できるそうです。今はまだ試験販売の段階ですが、この技術によって美味しいみかんが夏にも販売されるようになれば、農家も消費者も嬉しいWin-Winの関係につながると思います。
豚を育てる養豚農家もみかん農家と同じく、廃業をする人が増えている業種です。飼育などの作業が重労働であるとともに、その餌となる配合飼料が高騰し、経営難になる養豚農家が増えているためです。
そんな日本の養豚業に変革をもたらそうと、株式会社日本フードエコロジーセンターでは食品メーカーなどから排出される切れ端などの食品廃棄物を再利用し、格安の豚のえさ「リキッド発酵飼料」を開発・販売しています。
リキッド発酵飼料の優れている点は、増えるごみ問題と、養豚場の経営問題の両方を解決できる点です。パン、ご飯、うどん、そば、そして野菜や果物などを破砕・殺菌し、乳酸発酵を経たリキッド発酵飼料は配合飼料の約半額で販売されています。そしてこのリキッド発酵飼料で作られた豚は味も良いため、スーパー等では普通の豚肉に比べ「旨香豚」等のブランドで高値で販売されています。
小田急百貨店でもお中元用の豚肉「優とん」として、リキッド発酵飼料で育った豚肉がこの夏販売されています。日本フードエコロジーセンター社は小田急ビルサービスから分社化し誕生した会社だそうですので、今後小田急グループの店舗で「優とん」の販売が進みそうです。
栃木県「とちおとめ」と福岡県「あまおう」に代表されるように、イチゴのブランド競争は日本全国で起こっています。そんないちごブランド戦争に立ち遅れているのが、群馬県の「やよいひめ」です。ガイアの夜明け後半では、このやよいひめブランドにスポットライトが当たりました。
やよいひめの甘さは「とちおとめ」や「あまおう」に引けをとらないものの、ブランド力が無いため販路の拡大に苦戦していました。そこで、群馬県・農業技術センターの大海さつきさんは、やよいひめを「ドライいちご」という戦略で活路を見出そうとしています。
大海さん1年の歳月をかけ、乾燥機を使いスライス状にした「ドライやよいひめ」の開発に成功。群馬県のイチゴ農家、塩田さんも農業技術センターのセミナーをきっかけに12万円の乾燥機を購入し、ドライいちごの精製に成功していました。ドライやよいひめは高給チョコレート店「ベルアメール」との契約にも成功し、伊勢丹新宿店などでフレーズフロマージュとして販売されています。
農業は重労働で儲からないというイメージを持っていましたが、今回のガイアの夜明けを見てそのイメージが変わりました。技術とアイデアで農業はより進化し、日本国内だけでなく世界でも戦えるビジネスになると感じました。