技術力と愛情のある日本の企業が生み出す医療器具に期待!カンブリア宮殿「巨大プロペラが人工関節に!高齢者を幸せにする職人技術」視聴レビュー

2013年10月31日(木)に放送されたカンブリア宮殿「巨大プロペラが人工関節に!高齢者を幸せにする職人技術」を録画していたので、3か月遅れとなりましたが視聴しました。ナカシマメディカル株式会社の代表取締役社長、中島義雄(なかしま・よしお)氏が登場し、「大事なのは真摯に教えを請うこと」という理念のもと人工関節を生み出された軌跡について語られた回になります。

カンブリア宮殿によると、老化現象のひとつとして高齢者を悩ませる関節痛のうち、特に膝の関節痛を患う人は全国に1800万人もおり、65歳以上の3人に1人が悩まされているそうです。高齢者のひざの痛みを解消する手だての一つが、今回のテーマでもある「人工関節」です。

人工膝関節の手術数は一般的になっているものの、番組公式サイトによると件数としては僅か7万件ほどしかないそうです(2011年度)。「体に異物を入れるのが恐い」「痛みが本当に取れるかどうか分からない」といった不安が手術数が増えない要因とのこと。

また現在、世の中で使われている人工関節は8割が欧米製。そんな中、番組のゲストであるナカシマメディカル社では、日本人やアジアの人々に向け「欧米人に比べて小さい膝」、さらには「あぐらや正座の文化」までを考慮した特別な人工関節を製造しています。

ナカシマメディカル社の人工関節技術は、母体であるナカシマプロペラという会社の船舶プロペラ製造技術の転用によるものだそうです。浮き沈みの激しい造船業界と共に歩んできたナカシマプロペラ社は、当然のことながらオイルショックなどで船舶の需要が減るとプロペラの需要も減ります。

不安定な状況をを打破したいと考えていた1987年のある日、工場に訪れていた西江医師に「プロペラを磨くこれだけの技術があれば人工関節も作れる」とアドバイスを受けたことがキッカケで、人工関節の開発に踏み出したそうです。

欧米はテーブルと椅子の生活が中心で人工関節は可動域が90度~110度あれば充分とされていますが、ナカシマメディカルの人工関節は正座ができるよう可動域を130度以上曲がるようになっています。

また軟骨の役割を果たすプラスチックが酸化しないよう抗酸化作用のあるビタミンEを配合することで、一般的な人工関節の寿命が15年ほどされている中、ナカシマメディカルの人工関節の寿命は倍の20~30年にも延びたそうです。これにより人によって2回必要だった手術が1回で済むなど、患者にとって大きなメリットを提供できています。

番組の最後、村上龍さんの編集後記で語られていた言葉、「患者、つまり、人への優しさを失わなければ、医療は、産業化の弊害を免れることができるかも知れない、そう思った。」という一言が胸に響いた回でした。技術力と愛情のある中小企業が、国内外の医療現場でもっと活躍できる土壌づくりが求められているのだと思います。

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